2015/ 9/18 N.T 女性 39才 兵庫県在住
上顎10歯欠損 |
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残存する上顎前歯4本のブリッジも左側5本のブリッジもぐらついている。
診て一瞬にして、この症例は不可能か? とも思われた。
ミラクルでは、歯牙が1本あれば何とかなる。
しかしこの4本ブリッジ、5本ブリッジの各々を切断すれば恐らく・・・・?
どの歯牙も頼りないのではないかと思われた。
全ての歯牙が動揺していてもそれなりに出来ない事も無いが、ミラクルと言えどもその寿命は短い。
歯牙の1本でも少々しっかりしていれば何とかなる。
動揺していても、すり鉢状の残根でなければ、歯冠部を有する歯牙が1本あれば、ミラクルでは何とかなる。
しかし、この症例でブリッジを外せば、歯牙の動揺が域値をはるかに超えているようにも思われた。
これは、うかつに手を出すべきでは無いと考えられる。
他の来院患者もあり、本日は相談と言う事であったので、説明だけで一旦帰って頂く事にした。 |
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2015/10/19
前回に、またいつの日か、と患者に述べたまま、まったく忘れていた。
その日ミラクルを何とか作製してほしいと再来院となり、実際に診療の直前に、以前の事情を思い出し、半分ビックリ!
今からの処置を思えば、気が重苦しかったのは事実。
しかし、ミラクルマン会長として、如何なる症例にも敢えて挑まなければその名も廃れる。
それでも、この症例には、エライコッチャ!と言うのが本音ではあった。
しかし、何か手立てがないか? と口腔内を模索し始めた。
5本のブリッジの方は明らかに駄目だが、前歯4本の方は歯牙そのものが本当に駄目なのか?
それともブリッジが離脱している事によって生じている大きな動揺なのか?
とにかく見極める事にした。
やっぱり!!!
一見駄目と思われたブリッジは、3本の支台歯から、1本は完全に離脱している、後の2本はしっかりとまだ合着されている。
ブリッジだけを見る限り、全て抜去するしかないと診断され得る症例である。
その2本の歯牙をよく見ると、多少の動揺はあるが、まだまだ長期間使えると判断出来得た。
望みはある。
しかし、患者にはまだ何も言えない。
もうやるしかない。
ミラクルラボのテクニシャンに、今からその日ミラクルの印象、バイトを採る。
頼むぜッ! とだけ伝えた。
とにかくヤルしかない。
術者として、如何にブリッジを完全に歯牙から離脱させ、如何に再装着するかに、全てがアル。
きっと簡単である、アアしてこうすれば出来得るはずである。
あとは時間との闘いがある。
その日ミラクルが上下顎ではなく、上顎だけであればまだ簡単である。
集中すれば2時間で出来る。(上下となると5時間はかかる)
これまでの症例の一部ではそうであった。
しかし、しかしこの症例は、ブリッジを外してみなければ不明な点も多々ある。
しかし、しかし、しかし、上下顎でないのがまだ許容範囲である、などと自問自答しながら、ブリッジの離脱に臨んでいた。
してやったり!!!
ブリッジを上手く外せた。
3本の各歯牙の動揺については、特に2本は思っていたよりも良好である。
そして歯冠の修復に少々難儀したが、何とかやり終えた。
無事に、前歯ブリッジ4本は再装着された。
一安心である。
敢えて、全てを考え、装着にはセメント類ではなく、化学重合レジンを使う事にした。
5本ブリッジの方は歯牙を含めて、全てを取り除いた。
結局は10歯欠損のその日ミラクルである。
早速印象、バイトの採得を行う。
石膏も10分ぐらいで硬化させる。その際にはお湯を使う。
常に時間との闘いがある。
その高熱硬化に伴う石膏模型の変形などは、後のリベース処置(義歯床用裏装材・トクヤマリベースUノーマル)でどうにでも補える。
急げ! 急げ! 時間こそが重要課題である。
失敗の無きようにだけの一点集中で、ヤットの事でラボテクニシャンに印象模型とバイトを手渡し、その日ミラクル作製を依頼した。
17時30分であった。
19時5分にラボからその日ミラクルの出来上がりが届いた。
そこから、すべてを決めるミラクル調整が始まる。
ミラクル会員に毎回の講習会で述べているそれら全てのミラクル技法を、着実に、能率良くやり始める。
約40分の集中すべき闘いで、患者の口腔内にその日ミラクルはしっかりと、ピッタリと収まった。
ほぼ完璧であった。
患者にすれば、サプライズであっただろう。
この事実により、患者の今後の人生すら変わりゆく。
時間的などの要件を満たし、上手く行けば、その装着した時点で、患者の口腔内でほぼ完璧になじみ始める。
ラボテクニシャンに早速電話をして、その功労を讃えた。
ラボテクニシャンにすれば、急にその日ミラクルを頼まれても、その日のその時間の段取りがある。
急なそうした仕事を頼まれると、その段取りが狂い、帰宅時間も深夜になる事もある。
ミラクルマン会長も気を遣うこと相当である。
患者も納得して、満足して帰って行った。
何時もの様に、じわじわと疲れが押し寄せて来る。
会長である私が自画自賛するのはチョイと問題あるが、事実であるからこの際述べておきたい。
ミラクルの手法、考え方はどれだけ正確であり、完璧である事か。
それらを思えば、如何に他の義歯の根本が間違っており、そのため多くの患者に悩みをもたらしている。
ミラクルこそ義歯の基準である事が解るはずである。
ミラクルはその装着した時点で患者自身のモノになるのが殆どである。
患者がその事をハッキリと即座に教えてくれる。
保険の義歯であろうと、チョイとミラクル技法を使えば、ほぼ見違える義歯に変貌させる。
12年間これらを毎日、毎日確認しながらミラクルを育て、次々と開発して来た。
世の歯科医師達に目覚めよ!と伝達したい。
世界中、どれだけ患者が難儀して、苦しんでいるのかをもっと具体化して、ミラクルの普及、啓蒙を果たすべきであるが、ミラクルデンチャーと言う言葉を耳にしても、振り返らず、歯科医師達の大半はインプラント至上と考え、アチコチで盛んにインプラント治療が行われている。
患者にとっては幸せな、あるいは不幸な経過をたどり始める。 |
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2015/10/27
患者曰く、1週間経過したが、義歯は全く問題無し。
調整もせず、今回のラボテクニシャンにその義歯の研磨を依頼した。
ミラクルマン会長が、どの辺りの床縁を短く、どの部分を薄くしたかを各テクニシャンに伝達する目的もある。
その研磨された義歯を更にピカッシュ(銀のイオンコーティング)で処理を行った。
約3ヶ月は義歯の匂いも消えるし、菌やカビの排除にもなると聞いている。
患者には一応ミラクルに関して、終了を告げ、何かあれば電話するように伝えた。
患者は終始ニコヤカにしている様に思われた。
恐らく、口腔内の悩みはさぞかし大きかったであろう。
患者に尋ねてみた。
世の中には、義歯で苦しんでいる患者が相当に多くいる。
貴方の経過内容を久し振りに義歯相談室のHPの患者の声に掲載しようと思うが、如何?
直ぐにOK!の返事。
その顔は、元々美人さんであったと思われるが、初診で来院した時とは見事に異なり、清々しく美しく輝いているように思われた。 |
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