患者は上下の義歯を持参した。
その初診の日の出来事をミラクル試験として作成。
FG会員、FJ会員、FM会員の合同問題として、４８０名の会員に問題として送信した。
回答者には解答を送っている。
以下はその問題と解答であり、そのまま、ほぼ原文で掲載！

ミラクルFG問題184・FJ問題46・FM問題44　　（合同問題）
昨日の症例である。
兵庫県川西市からの初診61才女性患者で、上顎は現在他院で、作製中とのこと。
上顎の部分義歯を改造して､反対側ブリッジ等が脱離、その欠損に対し、現在装着している義歯にまで修理、改造して貰ったとのこと。
その修理、改造義歯が相当に上手く出来ているので　(デンティストもテクニシャンも）、今度出来上がる本来の保険義歯を是非とも見てみたいとまで思った。
期待した。
もちろん､右側2番のポンティックを除去して新義歯を装着するとのこと。
患者は上下顎にミラクル作製を望んだが、上顎の保険の義歯が出来たら､その時にお出で下さいと述べた。
保険での修理か、自費修理･改造かを致しましょうと・・・・
その時の改造義歯で十分ならそれで良し。
よって上顎については､今回は一切、何もせずに終える。
またどうしてもミラクルを作製したいと思われるなら、近隣のミラクル会員を紹介しましょうと敢えて述べた。
私には、もう単純なるミラクルを作製する時間など無い。
人生のタイムリミットが刻々と近付いている。
あと30年しかない。
たったの30年で、ミラクル会員を、ミラクルラボを何とか脱線の無いレールに、完璧に乗せなければならない。
そして、世界中の歯科界に嘘の無い、希望あるミラクルを普及、啓蒙の徹底活動をせねばならない。
その夢実現には、会員への指導のために、難解な症例には大いにエネルギーを費やせても、単純な症例に時間をアテガウ余裕など、会長には無い。
チョイと言い過ぎでござるか？　　　　いや失礼。
しかしこれは本音でござる。
ところで、下顎については、ゴソゴソと動いている。
全く装着しておれる情況では無い。
しかし患者は何とかはめていると答える。
さようか、今日遠いところから来られたこともあるし､これだけは今日済ませましょうと､一気に修理･改造
にかかり始めた。
１８時過ぎである。　またもや過酷な戦闘時間になった・・・・のではない。
勝算はあった。
最近のその日ミラクルからすれば、半分寝ながらでも出来そうである。
いやいや、目は輝き、その過程を是非、会員達に示しておかなければと眼はランランと輝き、（チョイと元々大きかった眼も最近しぼみがちではあるが）能率良く、見事に思うがままにやり終えた。

先程、受付から昨日の結果について、電話を患者にして貰った。
患者曰く ： 申し分無し　とのこと。　
（アレはヒョッとすれば良い方法かもしれないとピーンと響いた）
見るところ、バルプラストでも無さそう？
ひょいとしたらポリカかもしれない。
削合するにしても、ルシトーンでもない。
多分ポリカと､最終研磨を2分で！と依頼したテクニシャンSも自信ありげに述べていた。
しかし、材質が何であろうと、一発に終了。
当分の間、二度と触るつもりは無いぞと言う覚悟で完璧にするぞ、と臨んだ。
さて問題！

先生方なら、どの様に？
あるいは会長ならどの様に？
分かりやすく、箇条書き、その他何でもOK！
(参加することに意義あり、解答を貰うことにも意義あり、メール見てるぞ､生きてるぞ、という証明のために・・・・是非とも参加されよ！）

　　　　　期限は3月31日　(日)　２２時まで

　　　　　回答者には解答を送ります。
　　　　　（分からない、も回答と認めましょう）

　　　　　解答
エックス？　　そんなんいらん！
レストの除去　　要なし！
ぶかぶか：咬合紙での当たりを見る　　要らん
・・・・・・

そのままに完璧なるリベースオンリー！！！

初めはポリカではなく、ナイロン系樹脂だと思い込んでやり始めた。
剥がれることが予想されるキーとなるところ､ロックとなるところ、そこに根を、あとは距離を考え3ヶ所に根を！
計5ヶ所に根を形成する。
突き抜けずして根を形成するなど、全くもってしんどい！！！　　　と前に述べたことがあった。
そう、突き抜けてまん丸に形成する。
そこにリベース材が達すれば突き出たビスのアタマを潰すが如く、押さえる。
それにより、樹脂の外れを防止することにもなる。
実際は、そのようになったところ、ならなかったところ、がある。
そんな事はどうでも良い。
人工歯に穴が開き､ピンクになったところには､表面のリベース材を削除して光レで美しくと言うより、目立たないようにするだけ。
床部分にレジン材が行けば､溢れていれば少々滑らかにに削合、足らなくてもチョイと削合して滑らかにする。
その程度で十分であると考えてこの患者に臨んだし、これまで、多分全てがそうであった。
どうでも良いところに時間を割くより、噛める､噛めない､喋れる､喋れない、24時間装着する事が可能、装着する事が不可、それらこそが本当の勝負である。
患者が何を望むのか？
患者が決定する事である。
我々術者の感覚、自己満足、ポリシー？・・・・などが決定することではない。
と私はその一念で10年間闘い続けてきた。
私の経験からすれば､まったく例外は無かった。
今回のリベースは、軟度８から６にした。
サラサラではないが、ぽたぽたぽったんとティシュ上に落ちる。
そして、5ヶ所から､無用のレジンは溢れ出てくることになる。

出来うる限り、余分なレジンを排出する。
抑えどころは、キー､ロックを作製するために､抑える指の力ベクトルを考える。
経過を考え、微妙に動かし始める。

次の日に電話で、受付から患者の感想を聞かせた。
申し分無しとの返事であった。
4日後にメールが来た。

先生　先日はいろいろとありがとうございました　◯谷です
おかげで、下の歯は自分の歯みたいにぴったりしてうれしいです
上の歯もすぐにでもお願いしたいのですが、、
今日も行ってきましたが、調整だけで、次は４月１０日に予約をとっていますが、なかなか前へ進んでくれません。
終わり次第すぐ連絡しますのでまた　ぜひよろしくお願いします。

他院で出来上がりつつある保険のデンチャーを修理、或いはミラクル様改造する予定である。
とにかく、重要なのは､リベースを如何にやり尽くすかにある。

以上がこの問題に関して、回答者に送信した私の解答である。