2010/5/7 T.K 女性 60才 三重県在住
上顎12歯欠損
下顎 4歯欠損 |
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先月、 他の医院で 上顎の入れ歯を作ってもらった。
しかし、全くはめる事が出来ないし、はまっても食べられない。
噛めない、喋れない!
着けてない方が良いので全くはめていない。
3回ほど調整してもらったけど、全くダメだった。
インターネットを見て中川歯科医院ならいいんじゃないかと思って電話をしました。
上は残根2本のみで総入れ歯です。
2月から、下は動いている歯があるということで、矯正してもらっている。(2月より)
その装置が痛くてしょうがないんです。
もう 外してもらいたい感じなんです。
この針金を外して、ミラクルにしてもらえるならと思って今日は相談しに来ました。 |
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かなりの難症例です。
咬み合わせは、相当にくるっているというより、上顎と下顎がバラバラに作製されたという感覚です。
何から手をつけるべきか、長時間悩みました。
簡単に、上下ともに解決するというには、不可能であると判断し、まずは上顎の総義歯から何とかするということに・・・・。 |
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早速、総義歯の口蓋をくり抜くことにしました。
この症例では、3|3 に貴重な残根があり、また歯肉縁より上方に2〜3ミリの歯牙部分までもが存在し、その歯牙部分を覆ってしまうオーバーデンチャーとしては申し分の無い状況でした。
総義歯で口蓋をくり抜くミラクルメソッドの1つであるミラクルXなど、まったく考えずに、ただ単に口蓋を一気にくり抜いてしまうことに専念しました。
この処置の終了時に、この患者さんの反応は、相当に嬉しかったようで、信頼関係が成立したようでした。
とにかく、上顎においては、如何なる形体、材質などを考えるより、口蓋をある形状までくり抜いてしまうことを最優先すべきです。
中途半端にくり抜いただけでは、患者さんの大満足を得ることは出来ません。
この処置以外でのベター、ベストなものはあり得ないと、私は講習会等で常々断言してきました。 |
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くり抜くことで、まず味覚が甦ります。
解剖学者に詳しく尋ねてみましたが、最終結論を得ることは出来ませんでした。
もちろん、くり抜いた口蓋部には味覚細胞は存在しません。
講習会、会員とのメールのやり取りで、これまで議論百出でしたが、有力な考え方は出てきましたが、いまだ推測の域を出ません。
しかし、患者さん自身が、少しずつ削合していく途中で、あるところまで削合した時に、大歓声の如く“全然違う!”と仰るのは、間違いなく共通しています。
いくら費用がかかっても、口蓋部がくり抜けない義歯では、患者さんにとって最終の歓びをもたらさないかもしれません。
ミラクルでは、歯牙が1本であっても、くり抜いてしまいます。
そうした大きな床を必要としないからです。
これは他の義歯と一線を画すミラクルの大きな特徴の1つです。 |
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ところで残存する上顎の3|3の残根の処置については、検討しました。
上記にもありましたが、歯肉より2〜3ミリ歯牙部分が残っています。
残根上の総義歯として終えるのか? あるいはミラクルに出来る可能性があるのか?
・・・・・・
歯牙を被覆しても12歯欠損のミラクルに十分対応が出来、大丈夫であるとの観点から、歯牙の治療、被覆冠の作製を行い、それに次いでミラクルデンチャーを装着することに決定!
直ちに歯根の治療処置が始まりました。
その旨を患者さんにも伝え、総義歯から12歯欠損のミラクルデンチャーでという方向で進めていきました。
1ヶ月後の6月14日に3|3の前装被覆冠が出来上がり、早速装着を行い、総義歯の改造を行い、無事、次回には、ミラクルデンチャー本義歯作製のための印象というところまでこぎつけました。
気持ちとしては、初診時の時の具合からすれば、もう8合目まで到達しているというのが、率直な思いでした。
患者さんも、私を信じ、片道3時間もかけてこられると言った協力があってのことです。 |
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2010/7/26
(上顎ミラクルデンチャーを装着)
おかきなど4〜5年ぶりに食べられた。
コンビニで買ったものが食べられました。
ホームページを見て、来たことが良かった。
仮の入れ歯で 口蓋を抜いてもらって えずくのが無くなっていて、今日入れてもらったミラクルデンチャーも口蓋(口腔内の上壁、天井の部分) が無く、すごく調子良い感じです。
嬉しいです。
ホームページに顔写真載せても良いですよ!
↓
(記念の写真撮影) |
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ここに至るまで、山あり、谷ありの連続でしたが、難なく乗り越えることが出来ました。
ミラクルのパワー、その完璧さへの達成度、充実度を今さらながら確認出来た症例です。
これまでの実日数は10日です。
遠方ということもあり、出来るだけ能率よく進めようという事と、とにかく噛めるようになる、ほっとすることが出来る。
つまり、山登りでどこか休憩の場所を見つけて、長く不安であった歯科治療を休憩する事が出来る。
どこで噛んで良いのかさえ分からない状態を、噛めるように、少しでも味わえるようにというのが、その10日間の闘いでした。
下顎には左右奥1本ずつの歯牙があり、前の方は8本(1本だけ抜歯)の歯牙に矯正装置が施され、しかも動揺も大きかったので、そのままにして印象を採りました。
少々難しいところもありましたが、下顎に関しては“その次ミラクル”の手法で作製しました。
この下顎には最近ミラクルで重宝している一発ロックという手法が使われました。
おそらく、この症例で発案に至ったように思われます。
この一発ロックは、多くのミラクルフィットに応用され、ミラクルフィットの世界が大きく広がり、その考え方は現在でも改良され、より良きものが発掘されつつあり、大きな爆発力になっています。
専門家が現在の一発ロックの応用されているミラクルフィットを見ても、それまでの開発されてきた過程を知らなければ、素晴らしい事が理解できても、不可解な設計としか考えられないと思います。
それらの様な設計思考がミラクルには一杯あります。
そして、ミラクルフィットに考案された一発ロックが金属床に応用されて、ミラクルワールドはどんどんと膨張し続けています。
多分、その金属床から得られた事がミラクルフィットに、知らぬ間に応用されることになるでしょう。
といったような過程が7年間連日の如く続いてきたわけです。
ですから、ミラクルの山は高くそびえているのです。
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つづく |
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